平成31年度前期 技能検定1級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題の独自解説

このページでは、平成31年度前期 技能検定1級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題について、当サイト管理人の独自解説を記載します。

ある美
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ある美

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問題1

設問1

問1

製品図から外枠の寸法を読み取り、開口部の寸法を引いてやれば良い。


\begin{split}
投影面積 &=& 260\times210-70\times50 \\
&=& 54,600-3,500 \\
&=& 51,100[mm^2] \\
&=& 511[cm^2]
\end{split}

問2

公式「圧力=力÷面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。


\begin{split}
圧力
&=& マシンの射出力 \div スリーブの断面積 \\
&=& 450[kn](45tf)\div 55 \times 55 \times 3.14[mm^2] \\
&=& 0.0473…[kN/mm^2] \\
&=& 0.0473… \times 10^6 \times 10^{ -3 } [kN/m^2] \\
&=& 47.\cancel{3}[kN/m^2] \\
&=& 47[kN/m^2] \\
&=& 47[Mpa] \\
\end{split}

問3

公式「力=圧力×面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。


\begin{split}

&=& 鋳造圧力 \times 方案(製品、ランナー、オーバーフロー及びビスケット)の全投影面積 \\
&=& 47[MPa](問2の答え)\times 760[cm^2] \\
&=& 47×10^3[kN/m^2] \times 760×10^{ -4 }[m^2] \\
&=& 3572[kN] \\
\end{split}

最も近い値は、3600kN(360tf)である。

問4

問3で算出した「3572[kN]」を使用し、安全率1.15を加味した値が型開き力となる。

経済性を考える = その型開き力を上回る最小の型締力を有すマシンを選択肢から選べば良い。


\begin{split}
型開き力
&=& 3572 \times 安全率1.15 \\
&=& 4107.8[kN]
\end{split}

4107.8[kN]を超える最小の型締力は、5000kN(500tf)となる

設問2

「必要押出ロッド長さ」は、押出状態のロッド長さ+押出したい量となります。

押出状態のロッド長さは、「押出プレートと可動盤クリアランス」 ⁺ 可動盤厚み ⁺ 「可動盤と金型押出板クリアランス」で求められます。←に「押出したい量」を加えれば良い。


\begin{split}
押出状態のロッド長さ
&=& 30 ⁺ 435 ⁺ 50 ⁺ 60 \\
&=& 575[mm] \\
\end{split}

設問3

固定型と可動型それぞれの熱膨張量を計算後、その差を求めれば良い。


\begin{split}
固定型の熱膨張量
&=& 750[mm] \times 124[℃] \times 12 \times 10^{-6}[/℃] \\
&=& 1,116,000 \times 10^{-6} \\
&=& 1.116 …Aとする\\
\end{split}


\begin{split}
可動型の熱膨張量
&=& 750[mm] \times 174[℃] \times 12 \times 10^{-6}[/℃] \\
&=& 1,566,000 \times 10^{-6} \\
&=& 1.566 …Bとする\\
\end{split}


\begin{split}
熱膨張後の膨張差
&=& A – B \\
&=& 1.116 – 1.566 \\
&=& \cancel{-}0.45\cancel{1} \\
&=& 0.45[mm] \\
\end{split}

設問4

(1)

ADC12の保持炉の設定温度は、通常660℃~680℃の範囲で設定します。

設定温度が高い場合

設定温度が高い場合、酸化の進行が進みやすく、酸化膜・酸化物がダイカスト製品内に混入し、機械的性質の低下やハードスポットの原因になります。また、鋳造温度は金型に吸収される熱量と比例するため、金型寿命の低下に繋がります。

設定温度が低い場合

設定温度が低い場合、溶湯が射出スリーブ内で凝固しやすく、破断チル層の発生原因となります。
破断チル層により製品強度低下や湯流れ性の低下を招く。

(2)

語群の中で、油圧系統の圧力に関する選択肢は「圧力制御弁の設定」のみである。

設問5

問1

高速区間の体積、溶湯密度2.4g/cm^2より高速区間の位置を算出してやれば良い。

溶湯がゲートに達する時点で高速になるとすると、高速区間の溶湯質量 = オーバーフロー質量 + 製品質量 = 1075g(問題文に記載のある値)となる。

これを質量 → 体積に換算する。


\begin{split}
高速区間の溶湯体積
&=& 1075[g] \div 2.4[g/cm^3]\\
&=& 447.791\cancel{6}…[cm^3] \\
&=& 447,792[mm^3]
\end{split}

上記とプランジャーチップ径より射出スリーブ内の体積を求めて、高速区間の距離x[mm]を算出する。


\begin{split}
高速区間の溶湯体積447,792[mm^3]
&=& 55[mm] \times 55[mm] \times 3.14 \times x\\
x &=& 447,792 \div (55[mm] \times 55[mm] \times 3.14)\\
&=& 47.\cancel{1}4…[mm]\\
&=& 47[mm]
\end{split}

問2

スリーブ内の充填率 = 注湯量 ÷ スリーブ全体体積 で求められる。

よって、


\begin{split}
\frac
{ 2215[g] \div 2.4[g/cm^3] }
{ (570)[mm] \times 55 \times 55 \times 3.14[mm^2] } \times 100

&=&
\frac
{ 922.91…[cm^3] }
{ 5414145[mm^3] } \times 100\\

&=&
\frac
{ 922.91… \times 10^6[m^3] }
{ 5414145 \times 10^{-9}[m^3] } \times 100\\

&=&
\frac
{ 922.91[m^3] }
{ 5414.145[m^3] } \times 100\\

&=&
17.\cancel{0}4[%]\\

&=&
17[%]\\
\end{split}

問3

歩留ぶどまりとは、原料や素材の投入量に対して、実際に得られた生産数量の割合のことです。

歩留り = 製品質量 ÷ 鋳込み質量 にて求められます。


\begin{split}
\frac
{ 755[g] }
{ 2215[g] } \times 100

&=&
34.\cancel{0}8…[%]\\

&=& 34[%]
\end{split}

設問6

(1)

設問5・問1で求めた47[mm]が高速射出区間となるため、その区間を0.05秒で充填完了させることとなる。

よって、


\begin{split}
47[mm](設問5・問1の答え) = 47 \times 10^{-3}[m] &=& 0.047[m] \\
0.047[m] \div 0.05[s(秒)] &=& 0.9\cancel{4}[m/s]
\end{split}

(2)

チップと湯口の断面積・速度の比から湯口速度を導く。


\begin{split}
チップ断面積[mm^2]:チップ速度[m/s] &=&湯口(ゲート)断面積[mm^2]:湯口(ゲート)速度[m/s] \\
55 \times 55 \times π [mm^2]:0.9[m/s]((1)の答え) &=& 100 \times 1.6[mm^2]:x[m/s] \\
55 \times 55 \times π [mm^2] \times 0.9[m/s]((1)の答え) &=& 160 [mm^2] \times x[m/s] \\
x
&=& 53.\cancel{4}29…[m/s] \\
&=& 53[m/s]
\end{split}

ゲート速度は、約50m/sである。

(3)

降下率は、1 – 射出時の圧力 ÷ 射出前の圧力 × 100で求められる。


\begin{split}
1 –
\frac
{ 11.8[MPa] }
{ 13MPa] } \times 100
&=&
9.\cancel{2}3…[%] \\
&=&
9[%]
\end{split}

(4)

射出前の圧力に対し、±10%以内であれば正常、それ以上は異常である。

(5)

金型内でなるべく長く冷やし固めることで、変形は抑えられる。

よって、金型を開くタイミングを「遅く」する。

(6)

焼付きが生じるのは、金型温度の上昇が原因である。

よって、金型温度が下がるようにするため、離型剤の塗布量を「多く」する必要がある。

設問7

(1)

ひけ割れ・ひけ巣が生じる原因は、発生部位の周辺金型の温度が高く過熱して鋳物の凝固が遅れていることが原因である。

(2)

ボス部を形成しているのは、固定型である。

ボス部を冷やすためにスポット冷却を追加するのは、固定型となる。

設問8

問1

低速段階における波形の乱れは、加熱や冷却により、射出スリーブ内径とプランジャーチップ外径がラップするような設定(軽圧入のような状態)となる場合に発生する。

これが発生しうる選択肢は、プランジャーチップの冷却水の通水忘れである。

問2

充填中の圧力が低下する理由は、設問7・(2)にあるようにゲートを厚くしたために製品部の充填がスムーズになり、抵抗が掛からなくなるため。

問3

射出停止時における圧力の振動の原因は、射出系部品と作動油の慣性力が原因である。

問4

ゲート断面積と速度で金型修正前後の値で比を取れば良い。

設問7の問題文にゲート厚みを1.6mm ⇒2.0mmへアップしたとある。

まずは、金型修正前後のゲート断面積を求める。


\begin{split}
100 \times 1.6
&=&
160 [mm^2] \
100 \times 2.0
&=&
200 [mm^2]
\end{split}

設問6・(2)の答えを用いて、比の計算を行う。


\begin{split}
160[mm^2]:53[m/s](設問6・(2)の答え) &=& 200[mm^2]:x[m/s] \
x &=&
\frac
{ 160 \times 53 }
{ 200 } \
&=& 42.4[m/s] \
\end{split}

金型修正後のゲート速度は、計算結果と最も近い約45m/sである。

設問9

(1)

ショア硬さ試験のみロックウェル硬さに換算できる。

(2)

SKD61で38HRCは軟らかい。通常は、HRC53~56

(3)

金型硬度が低いと、金型と鋳造合金の間でアブレシブ磨耗という、硬い材料が柔らかい材料に食い込んでひっかき(スクラッチ)を起こし焼き付く現象が起こる。

設問10

問1

用語の意味をおさらいすると、以下の通りである。

潜熱…液体から固体に変化する際に、温度変化しない状態で費やされる熱のこと

比熱…単位重量当たり温度を1度あげるのに必要な熱量

溶湯が液体から固体へ変化する際に費やされた潜熱量と溶湯温度670→420℃(変化量250℃)へ変化した熱量を合計してやれば良い。


\begin{split}
潜熱の熱量:394.8[kJ/kg] \times 2.3[kg] = 908.04[kJ] \\
比熱の熱量:0.96[kJ/kg・℃] \times 2.3[kg] \times 250[℃] = 552[kJ] \\
合計の熱量:908.04+552=1460.04[kJ] \\
\end{split}

上記が1ショットあたりに奪われる熱量であり、問題にある80ショットあたりに換算すると、


\begin{split}
1460.04[kJ] \times 80[ショット]\\
&=&= 116803.2[kJ]\\
\end{split}

計算結果と最も近い値は、120000kJである。

問2

問1の算出結果から57%は金型冷却水が奪うので、その熱量を先に求める。


\begin{split}
116803.2[kJ] \times 0.57 = 66577.824[kJ]\\
\end{split}

冷却水が奪った上記の熱量から温度上昇する値を求めると、


\begin{split}
\frac
{ 66577.824[kJ] }
{ 4.18[kJ/kg・℃] \times 800[L/h] \times 1[㎏/L] \times 1[h] }
&=&
\frac
{66577.824[kJ] }
{ 3344[kJ/℃] } \\
&=&
19.90…[℃] \\
\end{split}

給水時の温度に上記の温度を足してやれば良い。


\begin{split}
20[℃]+19.90…[℃]\\
&=& 39.\cancel{9}[℃]\\
&=& 40[℃]\\
\end{split}

設問11

問1

ゲートやサブランナーに入る溶湯は抵抗が掛かるため溶湯が流れにくい。

よって、先に充填が完了するのは「製品 A」である。

問2

最後に充填完了したキャビティが最も鋳造圧力が有効に作用する。

よって、「製品 B」となる。

問題2

基本的にダイカストマシンの該当動作に不具合が発生する原因は、直前の工程で問題が起きている。

(1)

直前の動作を考えると、「押出し前進限のリミットスイッチの作動故障」が原因と予想できる。

(2)

直前の工程を指しているものを選ぶと、「製品検出のリミットスイッチの作動故障」が原因である。

(3)

鋳造圧力を掛ける動作で問題が起きている。

射出アキュムレーターの充填後の圧力が前日と同じであるが、作動させたところ鋳造圧力が低下するのは、アキュムレーターから充填ガスが漏れていることが予想される。

選択肢の中だと、「窒素量が微量ながら漏れてしまい減少したため」が原因である。

問題3

(1)

重油バーナ空気比:1.20~1.60

(2)

ADC12 1500㎏中8%しかSiが含まれていないので、ADC12 Si含有量:9.6~12.0%の範囲内になるようにSiを添加すれば良い。


\begin{split}
現状:1500[kg] \times 0.08 &=& 120[kg] \\
下限:1500[kg] \times 0.096 &=& 144[kg] \\
上限:1500[kg] \times 0.12 &=& 180[kg] \\
144[kg]-120[kg] &=& 24[kg] \\
180[kg]-120[kg] &=& 60[kg] \\
\end{split}

24~60kg添加すれば良い。

(3)

脱滓だっさい処理では、塩化ナトリウム系のフラックスを用いて行う。

脱滓処理とは、溶湯中に混入した酸化物を除去する工程である。
ノロ取りとも呼ばれる。フラックスと呼ばれる塩化物の粉を溶湯表面に散布して撹拌後、酸化物をフラックスに付着させて浮上させ、ライニング処理を施した鉄柄杓等を用いて浮上した酸化物(ノロ)を掻き取ります。撹拌後にフラックスが十分に浮上するための鎮静が重要です。

(4)

Kモールド法では、調査対象の合金を冷やし固めたインゴットの断面を割り、その断面内に含まれる「介在物」の面積率で清浄度を判定する。

(5)

Kモールド法の洗浄度は、0.1未満であれば合格となる。

問題4

(1)

玉掛け技能講習…1トン以上の金型を吊り上げるための玉掛け作業を行うときに必要

玉掛け特別教育…1トン未満の金型を吊り上げるための玉掛け作業を行うときに必要

(2)

折れた押出ピンに深いきずが発生しているので、押出ピン穴径に問題があることが読み取れる。

よって、押出ピン穴を同じ穴径で再加工する選択肢が答えとなる。

(3)

φ4押出ピンの2倍の強度を有す押出ピン径は、φ6である。

φ4押出ピンの3倍の強度を有す押出ピン径は、φ7である。

φ4押出ピンの4倍の強度を有す押出ピン径は、φ8である。

問題5

設問1

(1)

ダイカストは高速で射出するので、射出中に巻き込まれるものは「ガス」である。

(2)

圧縮ガスが型開き時に膨張したものを「ふくれ」という。

設問2

(1)

金型が過度に上昇して発生するものは、選択肢の中だと「焼付き」である。

(2)

金型温度の上昇を防ぐ施策は、選択肢の中だと「冷却水量を増加させる」となる。

(3)

一般的に取出し温度が高いほど凝固収縮の量が多くなる。ピッチ寸法を大きくするためには、製品取出し温度を「下げる」。

ゲート断面積と速度で金型修正前後の値で比を取れば良い。


\begin{split}
修正前の湯口断面積[mm^2]:修正前の湯口速度[m/s] &=&修正後の湯口断面積[mm^2]:修正後の想定湯口速度[m/s] \\
120[mm^2]:70[m/s]((2)の答え) &=& 120 \times x[mm^2]:40[m/s](問題文にある想定速度) \\
x &=&
\frac
{ 120 \times 70 }
{ 120 \times 40 } \\
&=& 1.75[mm] \
\end{split}

よって、修正後のゲート厚みは、語群の中で最も近い1.7mmとなる。

(4)

(5)

射出前の圧力に対し、±10%以内であれば正常、それ以上は異常である。

(4)より、降下率9%以内の差であることから正常と判断でき、窒素ガスの補充は不要である。

(7)

破線を確認すると低速区間・高速区間の始まりでそれぞれ立ち上がりが確認でき、高速区間で波形が下がっている。

この動作をするのは、「射出速度」のみである。

(2)

実線を確認すると、(1)の破線「射出速度」が上がるにつれ、圧力が上昇している。

高速区間の終了とともにさらに圧力が上昇していることから、「射出圧力」を示している。

(3)

問題文にある「プランジャー速度がゼロになった時の射出圧力A点と鋳造機の定格アキュムレータ圧力で射出バルブ全開にした時の無負荷時(空打ち時)の速度から得られる流量B点のA-Bを結んだ線」は、「マシンライン」である。

(4)

PQ2ダイアグラムのマシンラインと交わるプロセスポイントと原点を結んだ線は、「ダイライン」と呼ぶ。

(5)

鋳造圧力が下がっているものを選んでやれば良い。

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