令和4年度前期 技能検定2級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題の独自解説

このページでは、令和4年度前期 技能検定2級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題について、当サイト管理人の独自解説を記載します。

ある美
ある美

過去問の解法の参考になれば嬉しいです!

問題文は転載・複製禁止であり著作権の都合上、このサイトに記載できません。

技能検定試験問題公開サイト」を参照しながら活用ください。

公式が発表している解説を参照したい方は、参考書の購入↓を検討ください。

この記事の著者
ある美

1級ダイカスト技能士
特級技能士を目指してモリモリ業務に励んでいます❣
空いた時間でサイト更新中✏
皆さまよろしくお願いします✨
専門:コールドチャンバー アルミ合金ダイカスト

\ある美をフォローする/
他年度の独自解説一覧
他年度の独自解説一覧はこちら

確認したい項目をタップ(クリック)してください!

年度 1級&2級
問題文
1級
独自解説
2級
独自解説
平成31年 問題文 独自解説 独自解説
令和2年 - - -
令和3年 問題文 独自解説 独自解説
令和4年 問題文 独自解説 独自解説
令和5年 問題文 独自解説 独自解説
令和6年 掲載され次第リンクします - -

問題1

設問1

公式「圧力=力÷面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。


\begin{split}
圧力
&=& マシンの射出力 \div スリーブの断面積 \\
&=& 450[kn](45tf)\div 50 \times 50 \times 3.14[mm^2] \\
&=& 0.05732…[kN/mm^2] \\
&=& 0.05732… \times 10^6 \times 10^{ -3 } [kN/m^2] \\
&=& 57.\cancel{3}2[kN/m^2] \\
&=& 57[kN/m^2] \\
&=& 57[Mpa] \\
\end{split}

設問2

(1)

製品図から外枠の寸法を読み取り、開口部の寸法を引いてやれば良い。


\begin{split}
投影面積 &=& 300\times210-70\times50 \\
&=& 63,000-3,500 \\
&=& 59,500[mm^2] \\
&=& 595[cm^2]
\end{split}

(2)

まずは、製品部と製品部以外の投影面積を合計し、全投影面積を算出する。


\begin{split}
全投影面積 &=& 595[cm^2]((1)の答え)+255[cm^2]\\
&=& 850[cm^2]
\end{split}

公式「力=圧力×面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。


\begin{split}

&=& マシンの射出圧力 \div 方案(製品、ランナー、オーバーフロー及びビスケット)の全投影面積 \\
&=& 57.32[MPa](設問1の答え)\times 850[cm^2] \\
&=& 57.32×10^3[kN/m^2] \times 850×10^{ -4 }[m^2] \\
&=& 4872.2[kN] \\
\end{split}

約4900kNである。

(3)

「押出し棒(押出しロッド)の長さ」は、押出状態のロッド長さ+押出ししたい量となります。

押出状態のロッド長さは、「押出プレートと可動盤クリアランス」 ⁺ 可動盤厚み ⁺ 「可動盤と金型押出板クリアランス」で求められます。←に「押出ししたい量」を加えれば良い。


\begin{split}
押出状態のロッド長さ
&=& 30+435+50+60 \\
&=& 575[mm] \\
\end{split}

設問3

(1)

射出切替は、通常溶湯がゲートに到達「する時点」で高速射出になるよう設定する。

(2)

通常、冷却水の排水口は金型より「高く」する。

狙いとしては、空気抜き効果を意識しており、冷却水の流路内に空気が溜まりにくくなります。

(空気が残ると冷却効率が低下する)

(3)

とあるモノの温度が上昇すると熱膨張により膨張する。

鋳造中に金型が温まると、熱膨張により型厚が増え、金型段取りで設定する型締力より大きくなるため、「80%」程度に留める。

設問4

(1)

キャビティ表面温度で「170℃」程度温まれば、離型剤が蒸発して金型表面に残り、離型しやすくなる。

(2)

>>「ホットチャージ」とは?

一気に素早く補給すると、巻込巣の原因となる空気を巻き込んでしまうため、「静かに」補給する。

また、高い位置から補給すると、空気に触れている時間が長くなり冷めやすいため、「低い位置から」通常行う。

設問5

単純な単位変換の問題である。単位に注目して計算すれば良い。


\begin{split}
溶湯体積[cm^3]
&=& 鋳込み質量[g] \div 溶湯密度[g/cm^3]\\
&=& 2300 \div 2.4\\
&=& 958.\cancel{3}33…[cm^3]\\
&=& 958[cm^3]\\
\end{split}

設問6

(1)

ADC12の保持炉の設定温度は、通常660℃~680℃の範囲で設定します。

設定温度が高い場合

設定温度が高い場合、酸化の進行が進みやすく、酸化膜・酸化物がダイカスト製品内に混入し、機械的性質の低下やハードスポットの原因になります。また、鋳造温度は金型に吸収される熱量と比例するため、金型寿命の低下に繋がります。

設定温度が低い場合

設定温度が低い場合、溶湯が射出スリーブ内で凝固しやすく、破断チル層の発生原因となります。
破断チル層により製品強度低下や湯流れ性の低下を招く。

(2)

「型締力の再チェック」とあるように、「金型の締め過ぎ又は不足」を確認するチェックである。

設問7

(1)

金型の予熱が終わった後、金型の過熱防止のために、冷却水は「通水」する。

(2)

むだ打ち(捨てショット)中は、射出速度を「遅く」して行う。

むだ打ち中は、金型全体の温度を上げている途中であるため、高速射出してしまうと、溶湯がキャビティ内に行き渡らず、張り付き等の原因となる。

(3)

湯じわは、溶湯温度や金型温度が低いことで発生する。

金型温度を「上げる」ため、金型冷却水を絞る。

(4)

鋳ばりを取る場合、製品を傷つけないためにADC12より柔らかい「黄銅たがね」を使用する。

(5)

作動油の温度は、通常40〜50℃の範囲が推奨されています。

一般的には、作動油の温度が高すぎると粘度が低下して潤滑性能やシール性能が低下し、摺動部分が摩耗しやすくなります。また、作動油が高いほど劣化しやすい。

一方、低すぎると粘度が高すぎてエネルギー効率が悪化し、高い場合と同じく摩耗や故障の原因となる可能性がある。

設問8

(1)

長い休み時間等の鋳造作業を行わない場合は、「金型温度の低下を防止するため、金型冷却水の元バルブを止め、さらにわずかのすき間を作って、金型を閉じておく」。

(2)

焼付きが発生していることから、280℃の金型温度は高いということが分かる。よって、「金型冷却の通水量と離型剤の塗布量を増やした」。

>>「焼付き」とは?

(3)

鋳ばりは、溶湯温度や金型温度が高いと発生しやすい。

射出プランジャー速度を「遅く」すれば、金型内に到達する溶湯温度を下げることができる。

(4)

ひけ巣は、厚肉部に発生しやすい。そのため、厚肉部である「φ30ボス部」を確認して内部欠陥の有無を調べることが適当である。

>>「ひけ(引け)」とは?

設問9

一般的な三変化射出方式なので、低速 – 高速 – 増圧の順に油圧圧力も右肩上がりになっていく。よって、実線波形が油圧圧力、それ以外の破線波形がプランジャ速度である。

これを踏まえて問題を解いていく。

問1

プランジャ速度が頭打ちとなっている「イ」部分が高速射出のMAXスピード区間である。

問2

油圧圧力が頭打ちとなっている「ロ」部分が油圧圧力のMAXであり、「最終増圧圧力」である。

問3

プランジャ速度が頭打ちとなっている「イ」部分が高速射出のMAXスピード区間であり、キャビディ充填中となる。

それに呼応する部分は「二」である。

問題2

設問1

(1)

リリーフ弁は、「最高圧力」を規制する。

Reliefリリーフ = 解放,解除という意味である。

(2)

「トグル部の給油不足」により、摩擦抵抗が増える。摩擦抵抗が増えると発熱してしまう。

(3)

金型が締まったのに、射出動作が行われなかったということは、ダイカストマシン側で形締め動作が完了していないという認識である。

よって、「型締限のリミットスイッチの作動故障」が該当する。

設問2

(1)

「油圧ポンプが吸い込みにくく」という記述からフィルターが関係していることが推測できる。

よって、「サクションフィルター」が該当する。

(2)

「オイルクーラー」は、冷却水により温度調整している。水量不足になると冷却不足となり、作動油の温度が高くなる。

問題3

(1)

アルミニウム合金は熱伝導が良いため、密度高く敷き詰めると放熱しやすく溶解しにくい。よって、密度が減る「リターン材」から敷き詰め、その上に、「インゴット材」を敷き詰める。

(2)

間接溶解は、インゴット材やリターン材を直接加熱しないため、「水素」等の溶け込みが減り、溶湯の汚染が少なくなる。

(3)

0.2%のフラックス材を用いて脱滓だっさい処理を行う。

0.4[kg](400g)÷200[kg] × 100 = 0.2%

(4)

溶湯の清浄度を確認するものは、選択肢としては「Kモールド法」である。

(5)

合金の成分を確認するものは、選択肢としては「発光分光分析装置」である。

問題4

(1)

ダイカストマシンは、「油圧ポンプ」を切っておけば動作できない。

(2)

金型取り付けでは、型締速度を「遅く」調整して行う。通常速度では、動作が速すぎてクレーン等で吊っている金型にダイプレートなどが衝突して危険である。

(3)

金型を吊り下げるものは、「チェーンスリング」である。

(4)・(5)

一般的に射出の摺動部がある「固定型を固定盤」を先に取り付け、そのあと「可動型を可動盤」の順に取り付ける。

(6)

金型の締付力(型締力)が均等かどうか調べる際に、ダイプレートの四隅にある「タイバー」に掛かっている負荷をロードメータなどで確認する。

問題5

設問1

(1)・(2)

鋳造初期に外観不良でよく見られる欠陥は、「湯境」・「未充てん」が該当する。

>>「湯境」とは?
>>「湯廻り不良(未充てん)」とは?

(3)

肉厚部では、「ひけ巣」が発生しやすくなる。

>>「ひけ巣」とは?

設問2

(1)

ばり取り作業で使う「やすり」は、パーティングライン等の細かい部分の作業がしやすい。

(2)

ばり取り作業では、鋭いアルミ片(ばり)が目に入る危険があるため、「保護めがね」をする。

(3)

軟鋼や鋳鉄と比べてアルミニウム合金は、柔らかく靭性が高い。

よって、切削抵抗が少なく、工具の摩耗が遅くなるため、切削速度を上げても工具寿命が長く保たれます。

また、熱伝導性高く、切削中に発生する熱を効率的に放散するので、切削工具の温度が上がりにくく、より高い速度での加工が可能になります。

加えて、アルミニウム合金は切りくずが鋳鉄よりも柔らかく、切断しやすいため、切りくずの排出がスムーズです。これにより、高速切削でも切りくずの詰まりが少なく、安定した加工が可能です。

(4)

「構成刃先」とは、切削加工中に切削工具の刃先に切りくずが付着し、固着した現象を指します。問題文に「融点の低い材料は…」とあるように切削加工でアルミニウム合金が溶け、切削工具に付着することが予想できます。

問題6

こちらの問題は暗記問題であるため、割愛します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました