意外と簡単?!金属組織の観察方法を詳しく解説します!

ある美
ある美

金属組織を調べるときに必要なものって何だろう?観察する状態にする手順や方法を詳しく知りたいなぁ…。

こういった疑問に答えます。

この記事を読むと金属品質の確認可能になり、以下のような内容を評価が自前化することができます。

  • 物性評価(硬度、組成など)
  • 不良品調査

アルミダイカスト製品を事例にして、詳しく説明していきますね!

この記事の著者
ある美

鋳造エンジニア。
年間50以上の自動車部品の開発に関わっています!
製品開発から金型設計に加えて、現場改善まで行うスペシャリスト✨
専門:コールドチャンバーのアルミ合金ダイカスト

\ある美をフォローする/

金属組織の観察で必要なもの

金属組織の観察方法を簡単に述べると、「サンプルを樹脂埋め後に確認したい断面まで研磨で追い込んでいく」という流れになります。

それに伴って以下の道具が必要なります。

  1. 2液硬化型の樹脂
  2. 卓上型の試料研磨機
  3. 耐水サンドペーパー
  4. 顕微鏡
  5. 腐食液

いくつか補足があるので、順番に解説します。

2液硬化型の樹脂

2液硬化型の樹脂は、確認したいサンプルを樹脂埋めするために必要になります。

ある美
ある美

断面を確認するだけならサンプルを削れば良いだけでは?

こういった疑問が出るかもしれませんが、樹脂埋めしておかないと以下の場面で不憫に感じます。

  1. 研磨作業時に研磨しにくい(見たい断面まで追い込みしにくい)
  2. 研磨後の顕微鏡による確認時に平面で設置できず観察しにくい

また、2液硬化型樹脂に限らず、お金のある企業であれば熱硬化性樹脂を使った樹脂埋め機(樹脂埋込用機器)を導入しても良いです。

イメージしやすい動画があったので、貼り付けておきますね!

Mounting – Mecapress 3 HD by PRESI
ある美
ある美

樹脂埋め機は電気代は掛かりますが、
樹脂埋め作業が早く終わるので効率が良い点がメリットだわ!

この記事では、Amazonなどで気軽に入手できる2液硬化型の樹脂を提案させて頂きます。

顕微鏡について

見たい組織にもよりますが、通常は500倍まででOK。

よほど細かい内容の確認が必要になれば、1000倍まであれば充分だと思います。

記事を書くにあたって調べていましたが、今や本格的な顕微鏡もネット通販で購入することができるみたいですね!

腐食液について

腐食液はエッジング作業時に必要になります。

エッジングとは、不要な金属を溶かして観察したい金属のみ際立たせる(断面組織の淵(エッジ)を出す)操作のことを言います。

ちなみにアルミダイカスト製品では、Tuckerタッカー液を使います。

Tuckerタッカー液とは?
腐食液の1種です。以下の薬品を混ぜ合わせることで、アルミ合金中のアルミニウム以外の成分を腐食させやすくしたものになります。

参考にアルミ合金でよく使用される腐食液を一覧表に示します。

腐食液には複数の種類があり、観察したい部位や材料によって使い分けられます。

鋳造品や鍛造品でよく用いられる腐食液の一覧を示しておきます、

腐食液名組成注意書き
苛性ソーダNaOH 10g
H2O 90ml
全般の欠陥検査
一般のマクロ腐食
フッ酸HF 10ml
H2O 90ml
高けい素合金鋳物、鍛造材の一般マクロ腐食
塩化第二銅CuCl2 15gマクロ組織が表れないうちに表面が荒れる場合
Tucker液HF 15ml
HCl 45 ml
HNO3 15ml
H2O 25 ml
砂型、金型、ダイ鋳物の表面に適しており、鋳物および鍛造罪の一般マクロ腐食用
マクロ組織観察でよく使われる腐食液
腐食液名組成注意書き
苛性ソーダNaOH 10g
H2O 99ml
相識別
一般ミクロ組織検出用
フッ酸HF 0.5ml
H2O 99.5ml
高けい素合金鋳物、鍛造罪の一般マクロ腐食
Keller液HF 1ml
HCl 1.5ml
HNO3 2.5ml
H2O 95 ml
微細組織検出
相識別
溶質濃度分布検出
改良
Tucker液
HF 15ml
HCl 15 ml
HNO3 5ml
H2O 75 ml
微細組織検出
粒界、相識別
溶質濃度分布検出
マクロ組織観察でよく使われる腐食液

マクロ or ミクロどちらで見たいか?によって、同じ名称でも微妙に薬品の配合も変わっているので注意が必要です。

世の中に出回っている工業製品の金属は、ほぼ何かしらの金属が混じった合金です。

観察に不要な金属は意図的に薬品(塩酸や硫酸など)で溶かしてあげて、見やすいようにしてあげましょう!

評価品の下準備

評価品について、以下のような工程で準備していきます。

評価品の下準備
  • STEP 1
    サンプルの切り出し

    サンプルの中で評価したい部位を切り出して、樹脂埋めしやすいサイズにします。

    金属切断用ノコギリや切断機を使うと良いです!

    観察したい断面の手前でカットし、後工程の研磨作業で観察断面まで追い込んでいきます。

  • STEP 2
    サンプルの樹脂埋め(包埋ほうまい

    先に紹介したような2液硬化型のエポキシ樹脂などを使って、STEP 1で切り出したサンプルを樹脂埋めしていきます。

  • STEP 3
    樹脂埋めサンプルの研磨

    樹脂埋めサンプルを粗目の番手で研磨し、観察したい断面まで追い込んでいきます。

    各番手は以下のイメージで使用します。

    • #180~#320:追い込み
    • #320~#600:微調整
    • #800~   :仕上げ磨き
    • 最後にアルミナ液で研磨

    金属によっては、研磨で傷が付きやすいものがあるため観察したい断面のクオリティに合わせて番手を使い分けましょう。

  • STEP 4
    エッジング

    腐食液を使って、不要な金属を溶かしていきます。

    腐食中は化学反応によりガスが発生して研磨面との反応を阻害するため、研磨面は水面側に向けてエッジングしましょう。

    腐食生成物で研磨面が黒く汚れてしまった場合は、硝酸(HNO3)で拭き取ると良いです。

  • STEP 5
    サンプル観察

    観察したい断面の処理が全て終えたら、サンプルを確認しましょう。

    断面確認の結果、見たいものが確認できない場合はSTEP 3~4を繰り返して観察したい断面まで追い込みましょう。

まとめ

金属組織を調べ方について、まとめてみました。

私が業務する中では、中小企業の鋳物屋さんでは鋳造品質の確認ができないところが多いと感じています。

この記事を参考に金属品質の確認が自前化できたら嬉しいです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました