このページでは、令和3年度前期 技能検定2級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題について、当サイト管理人の独自解説を記載します。
過去問の解法の参考になれば嬉しいです!
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問題1
設問1
公式「圧力=力÷面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。
\begin{split}
圧力
&=& マシンの射出力 \div スリーブの断面積 \\
&=& 400[kn](40tf)\div 45 \times 45 \times 3.14[mm^2] \\
&=& 0.06290…[kN/mm^2] \\
&=& 0.06290… \times 10^6 \times 10^{ -3 } [kN/m^2] \\
&=& 62.\cancel{9}[kN/m^2] \\
&=& 63[kN/m^2] \\
&=& 63[Mpa] \\
\end{split}
設問2
(1)
製品図から外枠の寸法を読み取り、開口部の寸法を引いてやれば良い。
\begin{split}
投影面積 &=& 286\times206-70\times50 \\
&=& 58,916-3,500 \\
&=& 55,416[mm^2] \\
&=& 554.16[cm^2]
\end{split}
約555cm2である。
(2)
まずは、製品部と製品部以外の投影面積を合計し、全投影面積を算出する。
\begin{split}
全投影面積 &=& 554.16[cm^2]((1)の答え)+280[cm^2]\\
&=& 834.16[cm^2]
\end{split}
公式「力=圧力×面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。
\begin{split}
力
&=& マシンの射出圧力 \div 方案(製品、ランナー、オーバーフロー及びビスケット)の全投影面積 \\
&=& 62.9[MPa](設問1の答え)\times 834.16[cm^2] \\
&=& 62.9×10^3[kN/m^2] \times 834.16×10^{ -4 }[m^2] \\
&=& 524\cancel{6}.8…[kN] \\
&=& 5250[kN] \\
\end{split}
約5250kNである。
(3)
「押出し棒(押出しロッド)の長さ」は、押出状態のロッド長さ+押出ししたい量となります。
押出状態のロッド長さは、「押出プレートと可動盤クリアランス」 ⁺ 可動盤厚み ⁺ 「可動盤と金型押出板クリアランス」で求められます。←に「押出ししたい量」を加えれば良い。
\begin{split}
押出状態のロッド長さ
&=& 30+435+50+60 \\
&=& 575[mm] \\
\end{split}
設問3
(1)
射出切替は、通常溶湯がゲートに到達「する時点」で高速射出になるよう設定する。
(2)
通常、冷却水の排水口は金型より「高く」する。
狙いとしては、空気抜き効果を意識しており、冷却水の流路内に空気が溜まりにくくなります。
(空気が残ると冷却効率が低下する)
(3)
プランジャーチップは、ダイカストマシンのサイクルで一番初めに溶湯に触れる部位であり高熱となるので、常に冷やしておく必要がある。よって、「通水した」が該当する。
設問4
(1)
キャビティ表面温度で「170℃」程度温まれば、離型剤が蒸発して金型表面に残り、離型しやすくなる。
(2)
一気に補給すると、溶湯温度の低下に繋がるため、「1本ずつ小分けに」投入する。
設問5
単純な単位変換の問題である。単位に注目して計算すれば良い。
\begin{split}
溶湯体積[cm^3]
&=& 鋳込み質量[g] \div 溶湯密度[g/cm^3]\\
&=& 2064 \div 2.4\\
&=& 860[cm^3]\\
\end{split}
設問6
(1)
ADC12の保持炉の設定温度は、通常660℃~680℃の範囲で設定します。
(2)
「型締力の再チェック」とあるように、「金型の締過ぎ又は不足」を確認するチェックである。
設問7
(1)
金型の予熱が終わった後、金型の過熱防止のために、冷却水は「通水」する。
(2)
むだ打ち(捨てショット)中は、射出速度を「遅く」して行う。
むだ打ち中は、金型全体の温度を上げている途中であるため、高速射出してしまうと、溶湯がキャビティ内に行き渡らず、張り付き等の原因となる。
(3)
湯じわは、溶湯温度や金型温度が低いことで発生する。
金型温度を「上げる」ため、金型冷却水を絞る。
(4)
鋳ばりを取る場合、製品を傷つけないためにADC12より柔らかい「黄銅たがね」を使用する。
(5)
作動油の温度は、通常40〜50℃の範囲が推奨されています。
一般的には、作動油の温度が高すぎると粘度が低下して潤滑性能やシール性能が低下し、摺動部分が摩耗しやすくなります。また、作動油が高いほど劣化しやすい。
一方、低すぎると粘度が高すぎてエネルギー効率が悪化し、高い場合と同じく摩耗や故障の原因となる可能性がある。
設問8
(1)
長い休み時間等の鋳造作業を行わない場合は、「金型温度の低下を防止するため、金型冷却水の元バルブを止め、さらにわずかのすき間を作って、金型を閉じておいた」。
(2)
焼付きが生じるほど金型温度が高くないのに、かじりが発生しているということは、離型剤不足や抜勾配設定が浅いことが予想される。選択肢の中だと、「離型剤の塗布位置を調整しBブへ塗布するように調整する」が適当である。
>>「焼付き」とは?
(3)
鋳ばりは、溶湯温度や金型温度が高いと発生しやすい。
射出プランジャー速度を「遅く」すれば、金型内に到達する溶湯温度を下げることができる。
(4)
ひけ巣は、厚肉部に発生しやすい。そのため、厚肉部である「φ30ボス部」を確認して内部欠陥の有無を調べることが適当である。
>>「ひけ(引け)」とは?
設問9
一般的な三変化射出方式なので、低速 – 高速 – 増圧の順に油圧圧力も右肩上がりになっていく。よって、実線波形が油圧圧力、それ以外の破線波形がプランジャ速度である。
これを踏まえて問題を解いていく。
問1
射出速度=プランジャ速度であるため、「へ」が適当である。
問2
油圧圧力が頭打ちとなっている「ロ」部分が油圧圧力のMAXであり、増圧後の射出シリンダー圧力である。
問3
プランジャ速度が頭打ちとなっている「イ」部分が高速射出のMAXスピード区間であり、キャビディ充填中となる。
それに呼応する部分は「二」である。
問題2
設問1
(1)
「作動油」は、油圧機器を動作させる際に必要となる。
(2)
オイルクーラーは、冷却水により温度調整している。よって、「水量の冷却水を流す」が適当である。
設問2
(1)
製品取出し装置は、金型が開いているときに動作できる。よって、「型開限のリミットスイッチの作動故障」が適当である。
(2)
スプレー動作は、製品取出しが終わっていれば動作できる。よって、「製品検出のリミット水っとの作動故障」が適当である。
問題3
(1)
定置式るつぼ炉は、「間接溶解」方式である。
(2)
間接溶解は、インゴット材やリターン材を直接加熱しないため、「水素」等の溶け込みが減り、溶湯の汚染が少なくなる。
(3)
溶解量の0.2%のフラックス材を用いて脱滓処理を行う。
300000[g](300kg)×0.2[%] = 600g
(4)
溶湯の清浄度をKモールド法で確認するものは、溶湯の「介在物」である。
(5)
合金の成分を確認するものは、選択肢としては「発光分光分析装置」である。
問題4
(1)
ダイカストマシンは、「油圧ポンプ」を切っておけば動作できない。
(2)
金型取り付けでは、型締速度を「遅く」調整して行う。通常速度では、動作が速すぎてクレーン等で吊っている金型にダイプレートなどが衝突して危険である。
(3)
金型を吊り下げるものは、「チェーンスリング」である。
(4)・(5)
一般的に射出の摺動部がある「固定型を固定盤」を先に取り付け、そのあと「可動型を可動盤」の順に取り付ける。
(6)
金型の締付力(型締力)が均等かどうか調べる際に、ダイプレートの四隅にある「タイバー」に掛かっている負荷をロードメータなどで確認する。
(7)
常温時と動作中では、金型の熱膨張の差で厚みが変わる。
動作中は金型の厚みが増し、型締力が上がってしまうため、「80%」程度に止める。
問題5
設問1
(1)・(2)
鋳造初期に外観不良でよく見られる欠陥は、「湯境」・「割れ」が該当する。
(3)
肉厚部では、「ひけ巣」が発生しやすくなる。
>>「ひけ巣」とは?
設問2
(1)
ばり取り作業では、アルミニウム合金より柔らかい「木ハンマー」が用いられる。
(2)
ばり取り作業では、鋭いアルミ片(ばり)が目に入る危険があるため、「防塵めがね」をする。
(3)
軟鋼や鋳鉄と比べてアルミニウム合金は、柔らかく靭性が高い。
よって、切削抵抗が少なく、工具の摩耗が遅くなるため、切削速度を上げても工具寿命が長く保たれます。
また、熱伝導性高く、切削中に発生する熱を効率的に放散するので、切削工具の温度が上がりにくく、より高い速度での加工が可能になります。
加えて、アルミニウム合金は切りくずが鋳鉄よりも柔らかく、切断しやすいため、切りくずの排出がスムーズです。これにより、高速切削でも切りくずの詰まりが少なく、安定した加工が可能です。
(4)
「構成刃先」とは、切削加工中に切削工具の刃先に切りくずが付着し、固着した現象を指します。問題文に「融点の低い材料は…」とあるように切削加工でアルミニウム合金が溶け、切削工具に付着することが予想できます。
問題6
こちらの問題は暗記問題であるため、割愛します。
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