令和5年度前期 技能検定2級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題の独自解説

このページでは、令和5年度前期 技能検定2級 ダイカスト(コールドチャンバダイカスト作業)実技試験(計画立案等作業試験)問題について、当サイト管理人の独自解説を記載します。

ある美
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ある美

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問題1

設問1

公式「圧力=力÷面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。


\begin{split}
圧力
&=& マシンの射出力 \div スリーブの断面積 \\
&=& 600[kn](60tf)\div 55 \times 55 \times 3.14[mm^2] \\
&=& 0.06316…[kN/mm^2] \\
&=& 0.06316… \times 10^6 \times 10^{ -3 } [kN/m^2] \\
&=& 63.\cancel{1}6[kN/m^2] \\
&=& 63[kN/m^2] \\
&=& 63[Mpa] \\
\end{split}

設問2

(1)

製品図から外枠の寸法を読み取り、開口部の寸法を引いてやれば良い。


\begin{split}
投影面積 &=& 300\times210-80\times50 \\
&=& 63,000-4,000 \\
&=& 59,000[mm^2] \\
&=& 590[cm^2]
\end{split}

(2)

まずは、製品部と製品部以外の投影面積を合計し、全投影面積を算出する。


\begin{split}
全投影面積 &=& 590[cm^2]((1)の答え)+300[cm^2]\\
&=& 890[cm^2]
\end{split}

公式「力=圧力×面積」から、問題文の数値を当てはめれば良い。


\begin{split}

&=& マシンの射出圧力 \div 方案(製品、ランナー、オーバーフロー及びビスケット)の全投影面積 \\
&=& 63[MPa](設問1の答え)\times 890[cm^2] \\
&=& 63×10^3[kN/m^2] \times 890×10^{ -4 }[m^2] \\
&=& 560\cancel{7}[kN] \\
&=& 5600[kN] \\
\end{split}

(3)

「押出し棒(押出しロッド)の長さ」は、押出状態のロッド長さ+押出ししたい量となります。

押出状態のロッド長さは、「押出プレートと可動盤クリアランス」 ⁺ 可動盤厚み ⁺ 「可動盤と金型押出板クリアランス」で求められます。←に「押出ししたい量」を加えれば良い。


\begin{split}
押出状態のロッド長さ
&=& 30+435+50+60 \\
&=& 575[mm] \\
\end{split}

設問3

(1)

射出切替は、通常溶湯がゲートに到達する時点で「高速」射出になるよう設定する。

(2)

通常、冷却水の排水口は金型より高くする。

狙いとしては、空気抜き効果を意識しており、冷却水の流路内に空気が溜まりにくくなります。

(空気が残ると冷却効率が低下する)

(3)

とあるモノの温度が上昇すると熱膨張により「膨張」する。

設問4

(1)

キャビティ表面温度で「170℃」程度温まれば、離型剤が蒸発して金型表面に残り、離型しやすくなる。

(2)

保持炉の溶湯温度を下げないために、「予熱したインゴットを少しずつ」投入する。

設問5

単純な単位変換の問題である。単位に注目して計算すれば良い。


\begin{split}
溶湯体積[cm^3]
&=& 鋳込み質量[g] \div 溶湯密度[g/cm^3]\\
&=& 3550 \div 2.4\\
&=& 1479.\cancel{1}66…[cm^3]\\
&=& 1479[cm^3]\\
\end{split}

設問6

(1)

ADC12の保持炉の設定温度は、通常660℃~680℃の範囲で設定します。

設定温度が高い場合

設定温度が高い場合、酸化の進行が進みやすく、酸化膜・酸化物がダイカスト製品内に混入し、機械的性質の低下やハードスポットの原因になります。また、鋳造温度は金型に吸収される熱量と比例するため、金型寿命の低下に繋がります。

設定温度が低い場合

設定温度が低い場合、溶湯が射出スリーブ内で凝固しやすく、破断チル層の発生原因となります。
破断チル層により製品強度低下や湯流れ性の低下を招く。

(2)

「型締力の再チェック」とあるように、「金型の締めすぎ又は不足」を確認するチェックである。

設問7

(1)

金型の予熱を行った後であり、金型の過熱防止のために、冷却水は少量→「所定量で通水」に変更する。

(2)

むだ打ち(捨てショット)中は、射出速度を「低速で」行う。

むだ打ち中は、金型全体の温度を上げている途中であるため、高速射出してしまうと、溶湯がキャビティ内に行き渡らず、張り付き等の原因となる。

(3)

湯じわは、溶湯温度や金型温度が低いことで発生する。

(4)

鋳ばりを取る場合、製品を傷つけないためにADC12より柔らかい「黄銅たがね」を使用する。

(5)

作動油の温度は、通常40〜50℃の範囲が推奨されています。

一般的には、作動油の温度が高すぎると粘度が低下して潤滑性能やシール性能が低下し、摺動部分が摩耗しやすくなります。また、作動油が高いほど劣化しやすい。

一方、低すぎると粘度が高すぎてエネルギー効率が悪化し、高い場合と同じく摩耗や故障の原因となる可能性がある。

設問8

(1)

長い休み時間等の鋳造作業を行わない場合は、「金型温度の低下を防止するため、金型冷却水の元バルブを止め、さらにわずかのすき間を作って、金型を閉じておく」。

(2)

引け割れが発生していることから、300℃の金型温度は「高い」。

>>「ひけ(引け)」とは?

(3)

(2)より金型温度が高いことから、温度を下げるために冷却水の流量と離型剤塗布量を「増や」す。

(4)

鋳ばりは、溶湯温度や金型温度が高いと発生しやすい。

射出プランジャー速度を「遅く」すれば、金型内に到達する溶湯温度を下げることができる。

(5)

充填完了後、鋳造圧力をかけるが、その昇圧時間を「長く」することでゆっくり圧力をかけられるようになる。

溶湯温度が下がってから鋳造圧力がかかるようになるので、鋳ばりの発生を抑制しやすくなる。

設問9

一般的な三変化射出方式なので、低速 – 高速 – 増圧の順に油圧圧力も右肩上がりになっていく。よって、実線波形が油圧圧力、それ以外の破線波形がプランジャ速度である。

これを踏まえて問題を解いていく。

問1

射出速度 = プランジャ速度となるので、「カ」が該当する。

問2

増圧は三変化射出方式の最後の工程であるため、最も高い油圧圧力となっている「イ」が該当する。

問3

プランジャ速度が頭打ちとなっている「ア」部分が高速射出のMAXスピード区間であり、キャビディ充填中となる。

それに呼応する部分は「エ」である。

問題2

設問1

(1)

リリーフ弁は、「最高圧力」を規制する。

Reliefリリーフ = 解放,解除という意味である。

(2)

給油により、摩擦抵抗が減る。摩擦抵抗が減ると「発熱を抑える」効果がある。

(3)

中子が戻ったのに押出前進動作が行われなかったということは、ダイカストマシン側で中子が戻っていないという認識である。

よって、「中子戻限のリミットスイッチの作動故障」が該当する。

設問2

(1)

油圧ポンプから異常音がしたということは、動作に抵抗がかかっていることになる。抵抗がかかるということは摩擦抵抗がかかるということであり、作動油不足であることが予想される。

よって、「最小値以下」が該当する。

(2)

オイルクーラーは、冷却水により温度調整している。よって、「水量不足」が該当する。

問題3

(1)

アルミニウム合金は熱伝導が良いため、密度高く敷き詰めると放熱しやすく溶解しにくい。よって、密度が減る「リターン材」から敷き詰める。

(2)

(1)で溶けたリターン材の溶湯で一気に「リターン材」を溶かす。

(3)

間接溶解は、インゴット材やリターン材を直接加熱しないため、「水素」等の溶け込みが減り、溶湯の汚染が少なくなる。

(4)

リターン材は、1度溶解して鋳造したものであり、その過程で「酸化物」を多く含む。

(5)

溶湯の清浄度を確認するものは、選択肢としては「Kモールド法」である。

問題4

(1)

ダイカストマシンは、「油圧ポンプ」を切っておけば動作できない。

(2)

金型取り付けでは、型締速度を「遅く」調整して行う。通常速度では、動作が速すぎてクレーン等で吊っている金型にダイプレートなどが衝突して危険である。

(3)

常温時と動作中では、金型の熱膨張の差で厚みが変わる。

動作中は金型の厚みが増し、型締力が上がってしまうため、「80%」程度に止める。

(4)

金型を吊り下げるものは、「チェーンスリング」である。

(5)・(6)

一般的に射出の摺動部がある「固定型を固定盤」を先に取り付け、そのあと「可動型を可動盤」の順に取り付ける。

問題5

設問1

(1)・(2)

金型が温まりきっていないため、それに起因する「湯じわ」・「未充填」が該当する。

(3)

肉厚部では、「ひけ巣」が発生しやすくなる。

>>「ひけ巣」とは?

設問2

(1)

ばり取り作業では、アルミニウム合金より柔らかい「木ハンマー」が用いられる。

(2)

ばり取り作業では、鋭いアルミ片(ばり)が目に入る危険があるため、「保護めがね」をする。

(3)

研掃材で「アルミニウム」の材料を用いると、粉塵爆発の危険がある。

(4)

研掃材で一般的に用いられる材料は、「亜鉛」である。

問題6

設問1

こちらの問題は暗記問題であるため、割愛します。

設問2

こちらの問題は暗記問題であるため、割愛します。

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